【ご注意】
本記事の内容は、執筆時の筆者所感・見解をまとめて“全てAIで自動投稿”したものです。
制度・サービス・市場の状況は変化するため、現在とはタイムラグが生じる場合があります。
漫画でわかる!今回のテーマ

「商品には自信があるんです。それなのに、大手には勝てなくて」——中小企業の社長からよく聞く言葉です。
原因は商品の質ではありません。売り物が商品そのもののままだと、大手と同じ土俵に立つことになります。同じ土俵で比べられれば、経営資源の多いほうが勝ちます。
300社超の現場を見てきましたが、伸び続ける会社ほど「何を売っているのか」の答えが商品名ではありません。売り物自体を、モノ売りからコト売りへ組み替えています。
この記事では、コンサルティング歴28年以上・300社超の現場から体系化した導線経営®の視点で、モノを売るのをやめた会社が伸びる理由をお伝えします。
1.4強がひしめく市場で、19年伸び続けた会社の話
1-1.最盛期の6分の1に縮んだ市場で、シェア1位になった

「小さな蟻でも、やり方さえ工夫すれば巨像に勝てるんです。」。元ハーレーダビッドソン・ジャパン(以下、HDJ)の社長を務められた奥井俊史氏から、直接伺った言葉です。
ハーレーダビッドソンと言えば、知らない人はいない大型バイクのブランドです。高価な車輌では300万円超、安価な車輌でも100万円は下らない、高額なバイクとして知られています。
ただ、HDJの主戦場は決して楽な市場ではありませんでした。まず前提として、日本はバイク大国と言われる市場であり、ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキの4強がひしめいています。
そこへ、市場そのものの縮小が重なります。最盛期は1982年。奥井氏が社長に就任された1990年は最盛期の2分の1、退任された時には6分の1という状況でした。
なお、本記事で挙げる市場規模やイベントの数字は、いずれも奥井氏が在任されていた当時のものです。
その厳しい環境の中で、HDJは19年間販売台数を伸ばし続け、シェアNo.1にまで上り詰めました。市場が6分の1に縮む間、逆に台数を積み上げ続けています。
普通に考えれば勝ち目のない条件です。それでも勝てた理由を、奥井氏は大きく3つに整理されています。
1つ目は「バイクを売ったのではない」。2つ目は「イベントをマーケティングの中心にした」。3つ目は「凡事を徹底した」。本記事では、この3つを順に見ていきます。
1-2.「バイクを売ったのではない」というひと言の意味
3つのうち、1つ目が本記事の中心です。「バイクを売ったのではない」。バイクを扱う会社の社長の言葉としては、少し奇妙に聞こえるのではないでしょうか。
奥井氏は、これを次のように言い換えています。「モノではなくコトを売った」。
モノとは商品そのものです。コトとは、その商品を通してお客様が体験することです。売り物の中身を、商品から体験へ置き換えた、ということになります。
ここで見落としやすいのは、商品を良くしたわけではないという点です。バイクの性能や品質を4強より上げたのではありません。売る対象そのものを変えています。
売り物を組み替えると、勝負をする土俵そのものが変わります。4強と同じ土俵から降りたことが、19年伸び続けた出発点でした。
2.人が買うか買わないかを決めている、2つの物差し
2-1.価格以上に価値が高いか、価値以上に価格が安いか

では、なぜ売り物を組み替えると結果が変わるのでしょうか。人が買うか買わないかを決める判断基準まで戻ると、理由がはっきりします。
拙著「儲かる会社88の鉄則」でもお伝えしていますが、人が商品やサービスを購入するか否かを判断する時、物差しは2つしかありません。
1つ目は、価格以上に価値が高いかどうか。2つ目は、価値以上に価格が安いかどうか。買う・買わないの判断は、このどちらかで行われています。
2つとも、価格と価値を載せた天秤です。天秤が価値の側に傾けばお客様は買い、価格の側に傾けば買いません。判断はこの一点で起きています。
価格で選ばれている会社は、天秤の価格側を軽くし続けることになります。これは体力勝負なので、経営資源の多い会社が有利です。中小企業には向きません。
残された道は、価値の側を重くすることです。ただ、価値は目に見えず、目に見えないものはお客様の天秤にそもそも載りません。
だから必要になるのが、見えない価値を見える化する手段です。HDJの場合、その手段が「モノを売らずにコトを売る」という選択でした。
2-2.経営資源に限りがあるからこそ、売り物を組み替える
奥井氏は、この選択に至った背景を、次のように語っています。
「商品(モノ)に頼る売り方が日本メーカーである。中小企業である私たちは、経営資源に限りがあるのでヒト・モノ・カネからオフセットし、自分たちがやれる方法・売れるやり方(コト)を考えなければならなかった。そのような中で独自性が生まれた。」
注目していただきたいのは、順番です。独自性があったからコトが売れたのではありません。経営資源に限りがあったのでやれる方法を探し、その結果として独自性が生まれています。
社長から「うちには特色がない」という言葉をよく伺います。しかし特色は、探して見つけるものではなく、制約の中で選んだやり方の跡として残るものです。
従業員20〜30名規模の会社であれば、この前提はまったく同じです。大手と同じ売り方を選べないことは、弱点ではなく、売り物を組み替える理由になります。
3.コト売りへ転換した会社は、お客様と会う機会を自分でつくる
3-1.年1000回のイベント、参加者の6割が新規のお客様

売り物をコトに変えると、次の問題が出てきます。コトは、店頭に並べておくことができません。お客様がその場にいなければ、体験は起こらないからです。
だからHDJは、2つ目のポイントとして「イベントをマーケティングの中心にした」を挙げています。言い換えると、既存客・見込客との接点を最も重要視した、ということです。
実際に開催されていたイベントは、年間1000回を超えます。しかも、参加される方の6割が新規のお客様でした。
年1000回は、1日あたり3回に近い数です。イベントは片手間の販促ではなく、事業の中心そのものに置かれていたことが分かります。
ここで大事なのは、回数の多さではありません。売っているものがコトである以上、お客様と会う機会そのものが商品だった、という点です。
モノを売る会社にとって、お客様と会う機会は販売のための手段です。コトを売る会社にとっては、それが売り物の中身になります。同じ活動でも、位置づけが逆になります。
3-2.同業他社から「あそこはイベント会社だ」と言われる状態
以前、日本で一番ハーレーダビッドソンを売る販売店様のご支援をさせていただいたことがあります。その際、担当の方からとても興味深いことを伺いました。
「他のバイクメーカーはHDJのことをバイクメーカーとは思っていない。彼らはHDJのことをイベント会社だと言っている。」
同業他社から「あそこはバイク屋ではない」と見られている。バイクを扱う会社として、これは必ずしも褒め言葉ではないかもしれません。
しかし裏を返せば、売り物の組み替えが成立している状態を、競合が言葉にしてくれたということです。同じ市場にいながら、同じ商売をしていないと見られています。
導線経営®の視点で言えば、ここが目指したい地点です。同業が自社を同じ枠に分類できなくなった状態こそ、見えない価値が見える化された結果です。
4.凡事の徹底とは、社長が段取りをつくること
4-1.人材の差ではなく、組織としての段取りの差

3つ目のポイントは「凡事を徹底した」です。奥井氏はこれを、「仕組みをつくった」と言い換えています。
「誰でもがやれる、些細で簡単な事柄の中にひそむビジネスの原点を、誰にでもできるレベルではなく、簡単にはやれない非凡なレベルにまで徹底して実践しようということです。」
「A社の人材は優秀だけど、うちの社員はそうではない…」という類の話を、経営者の方から伺うことが少なくありません。
しかし、A社の人材だけが優秀で、自社の人材は優秀じゃないなどということは絶対にありません。その差は個々の人材の差ではなく、組織力の差です。
ここで言う組織力とは、目的を達成するための段取りがあるかどうかです。誰がやっても同じ結果になる順番が決まっていれば、成果は個人の力量に左右されなくなります。
奥井氏はこうも語っています。「非凡になされた凡事を蓄積して大きなシステム(仕組み)をつくる。それらを通して顧客への“信頼”を構築する。」
年1000回のイベントも、担当者の才能で回るものではありません。誰が担当しても同じ体験が起こる段取りがあるから、1000回続けられます。
4-2.凡人をして非凡なことを成さしめる、という考え方

戦略とは、「目的達成のためのシナリオづくりと最適資源配分」です。目的地までのシナリオ、つまり行き方・道順をつくらなければ、目的地に到達することはありません。
そして、目的地までの速度と時間を早めるのが仕組みです。仕組みは、他社ができないことを自社の誰もができるようにするツールです。
「凡人をして非凡なことを成さしめる」ツールであり、これは経営者でなければ絶対にできない仕事です。業者に丸投げして出てくるものではありません。
では、自社の“コト”は何にすればよいのでしょうか。新しく考え出す必要はありません。ここでは3つの手順に分けてお伝えします。
1つ目は、既存のお客様が喜んでくださった場面を3つ書き出すことです。感謝された、知人を紹介してくださった、想定より早く次の注文をいただいた——そういう場面です。
2つ目は、その3つのうち、喜ばれた理由が商品そのものではなかったものを1つ選ぶことです。納期、説明の仕方、困った時の対応。多くはこちら側に見つかります。
3つ目は、選んだ1つを、誰がやっても同じように起こせる段取りに落とすことです。ここまで進めて初めて、それは自社の“コト”になります。
3つとも、社長が30分あれば着手できます。書き出す相手も、選ぶ基準も、段取りにする範囲も、社内の誰かに委ねられる判断ではないからです。
5.まとめ:売り物を組み替えれば、戦う場所が変わる!

最後に、ここまでの要点を振り返りましょう。導線経営®の視点で見ると、伸び続けた会社が変えていたのは商品の質ではなく、売り物そのものの中身でした。
- 縮む市場で19年伸び続けた会社は商品を良くしたのではない——売っているものをモノからコトへ組み替えた!
- 買う・買わないを決める物差しは2つだけ——価格と価値の天秤で、中小企業が重くできるのは価値の側だけ!
- コトを売る会社はお客様と会う機会を自分でつくる——年1000回のイベントは販促ではなく売り物そのもの!
- 凡事の徹底とは段取りをつくること——凡人をして非凡なことを成さしめるのは、社長にしかできない仕事!
今日からできる一歩は、既存のお客様が喜んでくださった場面を3つ、洗い出すことです。
そのうち、喜ばれた理由が商品そのものではなかったものが1つでもあれば、それが貴社の“コト”の原型になる可能性があります。新しく何かを始める必要はありません。
貴社には、商品そのものとは別に、お客様に売れる“コト”がありますか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。導線の詰まりは集客・web・営業と部門をまたいで起きるため、自社の中だけで特定するのは意外に難しいものです。
コンサルティング歴28年以上・300社超を支援してきた導線経営®が、その特定をお手伝いします。

