差別化を考えるとき、多くの会社が目に見えるところから手をつけます。設備、内装、商品の形。けれども、目に見えるものを真似た時点で、それは差別化ではなく、すでに二番煎じです。
困ることがもう一つあります。表面に出ている部分は、他社もすぐに追いついてきます。追いつかれるものに時間とお金をかけても、中長期の戦略にはなりません。形のあるもので差を付けようとするかぎり、この繰り返しから抜けられません。
金沢の加賀屋は、旅館の番付で三十五年以上一位であり続けました。支えたのは、おもてなしです。宿を出る日は玄関だけでなく、駅のホームでも見送ります。都内のあるタクシー会社は、支払いのあとにポケットティッシュを渡します。中には感謝の言葉と、小さな折り鶴が挟んであります。折っているのは運転手さん本人です。
設備は買えますが、駅まで見送る気持ちと、鶴を折る手間は買えません。貴社が差別化と呼ぶものは、目に見えますか。
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